三中 信宏 (農業環境技術研究所/東京大院農学生命科学)
野下 浩司 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
高橋 一男 (岡山大学大学院環境生命科学研究科)
江田 真毅 (北海道大学総合博物館)
金田 明大 (奈良文化財研究所埋蔵文化財センター)
時空的な変化を進化学的ならびに系統学的に解明しようとする考え方と技法は, 現在では研究分野の壁を超えて広く共有されるようになってきた. 生物・言語・写本・考古学など「歴史叙述科学(historiographic sciences)」と総称される研究分野群は, かつては系統推定と歴史復元の方法論はそれぞれの研究分野で互いに関わりなく開発されてきた. しかし,歴史叙述科学が解決すべき問題の共通性に対する認識と分野間連携の可能性が広がってくるにつれて, ある分野で用いられてきた手法の他分野への適用を通して,問題状況の類似と差異を再検討する機運が高まっている. 現時点では系統推定法を異分野で共有する動きが目立っているが,おそらく他にも連携の芽を育むことができるにちがいない. 今回のシンポジウムでは,「かたち」の比較定量的アプローチに焦点を当て, 幾何学的形態測定学やフーリエ解析など定量的な形態解析の生物学・考古学・先史学への適用をテーマとする. とくに,生物や遺物・遺跡の地理的分布とその成立に形態測定学の手法がどのように利用されているのか, その際の共通問題と個別問題は何かを議論する分野横断的なシンポジウムにしたい.